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生理不順(月経不順)と無月経

Irregular Periods

生理不順(月経不順)とは

一般的に女性の正常な「生理周期(月経周期)」は個人差もありますが、約1ヶ月のサイクルで訪れます。正常な生理(月経)周期は25日〜38日ごと、出血持続日数は3日〜7日(変動は6日以内)

生理不順(月経不順)は、このサイクル(周期)の25日未満で出血する、次の生理までの間隔が39日以上かかることを言います。月経不順は「周期日数」や「出血持続日数」で下記のように分かれています。

生理不順(月経不順)の種類

  • 希発月経(生理がたまにしかこない):月経周期が長くなり、39日以上で発来したもの
  • 頻発月経(生理や似た出血がしょっちゅうくる):月経周期が短くなり、24日以内で発来したもの
  • 不整周期(生理がバラバラにくる):上記の正常周期に当てはまらない月経周期
  • 過長月経(生理の期間が長い):出血日数が8日以上続くもの
  • 過短月経(生理の期間が短い):出血日数が2日以内のもの

生理(月経)がこない:無月経とは

また、本来生理がくる年齢層の女性で周期的な月経がこない状態のことを「無月経」と言います。無月経は大きく2つに分かれます。

無月経の種類について

  • 原発性無月経:18歳になっても月経が始まらない
  • 続発性無月経:月経が始まり、その後止まって3ヶ月以上停止する

月経不順・無月経の症状とは

このような症状が見られます

  • 生理が1週間ほど続く
  • 生理が1日ないし2日で終わる
  • 経血量が多いまたは少ない
  • 生理周期が安定しない
  • 生理がこないなど

無月経の原因

無月経の要因は、「続発性無月経」と「原発性無月経」で一般的に見られる要因も異なります。

続発性無月経

  • 妊娠中
  • 授乳中
  • 脳の視床下部の機能不全
  • 脳の下垂体や甲状腺の機能不全
  • 急激なダイエットによる栄養不足、肥満、強いストレス
  • 特定の薬剤の使用(経口避妊薬・抗うつ薬・抗精神病薬など)

原発性無月経

  • 遺伝性の病気を患っている
  • 膣や子宮の先天異常、性器の異常(経血の流れを妨げる病気)
  • 染色体異常
  • 性別不明な性器など、性器の異常

月経不順/無月経の治療について

月経不順の治療は、多岐にわたる「不順の原因」に応じた治療を行います。原因となる疾患があれば、その疾患の治療を行います。妊娠をご希望の女性へは、必要に応じて排卵誘発剤を使用して排卵を促し生理周期(月経周期)を整えます。

過多月経とは

過多月経は、経血量が多いという症状と貧血の有無で判断します。

過多月経の症状

このような症状が見られます
  • ナプキンが1時間ももたないほど、経血量が多い
  • 経血の中にレバーのような「血のかたまり」がある
  • 経血の量が増え、日数が長くなった。その結果(貧血・めまい・息切れ・動悸など)日常生活に支障が出る

過多月経の原因

「過多月経」は、女性の年齢背景により主な原因も異なります。

思春期
(10代:18歳頃まで)
ホルモンバランスが未熟で、周期的な排卵が確立していないことに起因する。血液凝固障害や排卵のない周期が見られる。
性成熟期
(19歳〜40代前半頃まで)
30代の発症頻度が高い【子宮筋腫・子宮腺筋症】や、子宮内膜ポリープなど原因となる子宮の病気による影響が考えられる。
更年期
(40代後半〜50代にかけて:閉経まで)
卵巣機能が低下する年代であり、内膜を掃除する黄体ホルモンの働きが得られないことを原因とする場合が見られます。子宮筋腫、子宮腺筋症等の器質的疾患も多い時期です。

※女性ホルモンの分泌異常による無排卵周期症と黄体機能不全が挙げられます。

治療について

薬物療法(お薬による治療)

低用量ピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)
作用
  • 排卵を抑制し、卵巣からの女性ホルモンの分泌を抑えます。
  • 子宮内膜の増殖を抑えたり、ホルモンバランスの異常を改善することで経血量を減少させます。
子宮内黄体ホルモン放出システム(ミレーナ®)
作用
  • 黄体ホルモンを持続的に放出する子宮内システムで、子宮の中に入れて使用します。
  • 子宮内膜に直接作用して、子宮内膜の増殖を抑えることにより、経血量を減少させ、月経痛を緩和することが可能です。
  • 長期間(5年間)の使用が可能です。
    ※子宮筋腫や子宮腺筋症が見られると、「位置がずれる」、「自然に抜け落ちる」ことがあります。

薬物療法が無効もしくは困難な場合には手術療法を検討します。
手術療法には、子宮全摘出術や原因病巣の摘出(子宮筋腫核出術など)があります。病状により治療法をご提案させていただきます。これらの手術療法が必要な場合は、提携医療機関のご案内をさせていただきます。

月経困難症

Dysmenorrhea

月経困難症とは

月経中に強い「おなかの痛み(下腹部)」、「腰痛・頭痛」が現れ、非常に重い状態を月経困難症と言います。生理(月経)のある女性の3〜7割の女性にあると言われ、日常生活に支障が出てしまう病気ですので、婦人科へのご相談をお勧めします。

月経困難症の症状

このような症状が見られます

  • 下腹部の痛みや張り
  • 腰痛
  • 吐き気や嘔吐
  • 頭痛
  • 疲労・脱力感
  • 食欲不振
  • イライラする

月経困難症の原因

機能性月経困難症(子宮や卵巣に問題なし)

子宮や卵巣などに何の異常も見られず、いわゆる病気ではなく、生理現象として、起こるものです。これらは、子宮内膜が剥がれる際につくられるプロスタグラジンというホルモンが原因で子宮の収縮を促す作用により、腹痛・吐き気などを起こしたりする。

器質性月経困難症(子宮や卵巣に問題あり)

子宮内膜症や子宮筋腫、性器の炎症などの病気が主な原因とされている。その中でも、子宮内膜症を発症している場合は、子宮以外の箇所にも内膜の組織ができるので、月経時に出血することで月経困難症となります。

治療について

1.鎮痛薬
痛みを抑える飲み薬を服用します。服用のタイミングは、痛みが出るより前に服用することをお勧めします。
2.ピル
機能性月経困難症は、排卵後、卵巣から分泌される黄体ホルモンが原因であるため、排卵を一時的に抑えるためにピルを服用します。ピルは安全且つ効果的な方法となります。
3.ホルモン薬
生理痛はピルなどでかなり痛みは和らぎますが、内膜症が進行している場合は、ピルだけですと、痛みが和らがないため、偽閉経療法や黄体ホルモン療法などを行うケースもあります。
4.漢方薬
ご要望に応じて、漢方もご提供します。

PMS(月経前症候群)

PreMenstrual Syndrome

70%の女性が持つ:PMS(月経前症候群)とは

PMSは、PreMenstrual Syndromeの略です。
生理(月経)前の3~10日くらい前から(精神的)・(身体的)に起こる不快な症状を指します。生理(月経)前に現れ、月経が始まると症状が軽くなり消失します。約70%の女性が何らかのPMSの症状を持ち、6.5%の日本人女性が日常生活に影響がでる中等度以上の報告が確認されています。

PMSの症状

このような症状が見られます

からだの症状
  • 胸が張る
  • 眠くなる
  • にきび・吹き出物・肌荒れ
  • 便秘
  • 肩こり
  • 頭痛
  • 下腹部の痛み・張り・重み
こころの症状
  • イライラする、感情の起伏が激しくなる
  • 気分が落ち込む
  • 無気力感
  • 憂うつ・気分が落ち込む
  • 弱気・不安
  • 集中できない
  • 興奮しやすい
  • 悲しくなる

はっきりとした原因は解明されていませんが、排卵を抑制するとPMSが発症しないことが確認されており、黄体ホルモンが誘因であると言われています。また、うつ状態を誘導する受容体の黄体ホルモンに対する感受性が高いため発症するとも言われています。

PMSの検査・治療

PMSは医師による問診で診断し、「ピルなどのホルモン療法や漢方、精神安定剤などの薬物療法」を持ちながら、患者様の症状に合わせて、治療法をご提案させていただきます。

PMDD(月経前不快気分障害)

Premenstrual Dysphoric Disorder

PMDD(月経前不快気分障害)とは

症状が現れる時期はPMSと同じですが、PMSよりも、精神症状(こころの症状)が強く現れます。日本人女性の1.2%がPMDDと言われます。

PMSの症状

このような症状が見られます

こころの症状
  • うつ気分や落ち込みがひどい
  • 不安、緊張感、どうにもならない、がけっぷちなどの感情がある
  • 拒絶や批判に対する感受性が高くなったり、情緒的に不安定だったり予測できなかったりする
  • イライラしたり、怒りっぽくなる

PMDDの原因

はっきりとした原因は解明されていませんが、排卵を抑制するとPMSが発症しないことが確認されており、黄体ホルモンが誘因であると言われています。また、うつ状態を誘導する受容体の黄体ホルモンに対する感受性が高いため発症するとも言われています。

PMDDの検査・治療

PMDDは、PMS同様、医師による問診で診断し、ピルなどのホルモン療法や漢方、精神安定剤などの薬物療法を持ちながら、患者様の症状に合わせて、治療法をご提案させていただきます。