卵巣腫瘍
卵巣は、子宮の左右に一つずつある小さな臓器で、女性ホルモンを分泌したり、排卵をコントロールしたりと、女性の健康と妊娠にとって重要な役割を果たしています。この卵巣にできる腫瘍を 「卵巣腫瘍」といい、その中でも液体がたまって袋状になったものを「卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)」 と呼びます。卵巣腫瘍には「良性」と「悪性」があり、それぞれの特徴や進行の程度によって治療方針が異なり ます。初期には自覚症状が乏しく、健康診断や婦人科の超音波検査で偶然見つかることも少なく ありません。ただし、腫瘍が大きくなるとお腹の張りや下腹部の痛み、圧迫感などの症状が現れる ことがあり、日常生活に支障をきたすこともあります。また、腫瘍が破裂したり、茎捻転(けいねんてん)といって腫瘍が根元からねじれて血流が遮断さ れたりすると、突然激しい下腹部痛や吐き気、冷や汗を伴う急な体調不良を引き起こすことがあり ます。これらは緊急手術が必要となる場合もあるため、注意が必要です。
卵巣腫瘍の原因
卵巣腫瘍のはっきりとした原因は明確にはわかっていませんが、ホルモンバランスの乱れや加齢、排卵の繰り返し、遺伝的要因などが関与していると考えられています。また、腫瘍の種類によって発生の背景が異なることもあります。たとえば「チョコレート嚢腫」は子 宮内膜症に伴って発生するもので、生理のたびに出血した血液が卵巣内にたまることで形成され ます。他にも中身が脂肪や髪の毛・歯の腫瘍もあります。
卵巣腫瘍の主な症状
卵巣腫瘍は、初期のうちはほとんど自覚症状がありません。そのため、気づかないうちに徐々に 腫瘍が大きくなってしまうことがあります。大きくなるにつれて、下腹部に張りを感じたり、鈍い痛み や違和感が出てきたり、膀胱や腸が圧迫されて頻尿や便秘になることもあります。腰が重く感じ る、なんとなくお腹がスッキリしないといった症状が出ることもあります。特に腫瘍や嚢腫が大きくなって破裂したり、ねじれて(茎捻転)血流が途絶えたりすると、突然の 激しい下腹部痛、吐き気、冷や汗、めまい、失神などの急激な体調変化が起こることがあります。 こうした場合は緊急対応が必要となることがあるため、速やかに医療機関を受診してください。
こんな症状、ありませんか?
- 下腹部が張る感じがある、しこりのようなものを感じる
- 最近、頻繁にトイレに行くようになった
- 便秘気味で、お腹がすっきりしない
- 生理とは関係ない下腹部の痛みがある
- 腰が重く、だるさが続いている
- 急に強い腹痛が起きて救急にかかったことがある
卵巣腫瘍の治療
卵巣腫瘍の治療は、基本的には手術療法が中心となります。
良性腫瘍の場合
腫瘍だけを摘出し、卵巣の正常な部分を残す「腫瘍摘出術」が選択されます。将来の妊娠を希望 する方にも配慮した術式が可能です。腫瘍の大きさや年齢によっては、卵巣自体を摘出すること もあります。
悪性腫瘍の場合
腫瘍の拡がりによっては、卵巣や子宮、リンパ節を含めた広範囲の摘出が必要になることがあります。また、手術後には抗がん剤を用いた化学療法が必要となるケースもあります。